箱根スロープ 雑記 2010年08月03日 ということでたまには音楽以外のことでも。といってもご本を読むしかないのだけど。あと地図をぼーっと見てるとか。ということでずっとほったらかしといた「箱根の坂(全3巻)」読了。読むのに半年もかかった本は初めてです。 越すに越されぬ箱根の坂と以前書いたけど、下巻に入ってからより遅読がすすむ。室町時代における関東の状況というのは、何度も調べてるはずなのに、ぜんぜん頭に入ってこない。宗瑞さん(北条早雲)が箱根の坂をこえて、ひとり感慨にふけるシーンがあるけど読者の私も「長かったな」と同じ感慨にふけっている。といっても小説はその直後に終わってしまうのだけど。・古河公方・扇谷上杉家・山内上杉家ぶっちゃけこの3家が三つ巴になって、いわゆる三国時代を呈してるわけで。そこに太田道灌やら東常縁やら長尾景春やらの名将知将が絡んで、しっちゃかめっちゃかやってるわけです。話としては面白いはずなんだけど…何にも面白くない。私も大昔に、上杉禅秀あたりの話でも書こうと思って資料を準備してたことがあるけど途中で空しくなって、まったくのファンタジーに切り替えたこともあるし。まあ、そういう時期もあったんで…。彼らも必死なんだろうけど、戦国時代や幕末に生きた人たちの必死さとも違う。わーっと盛りあがるだけ盛りあがったあと、カゲロウのようにスッと消えてしまう。「え、何、何だったの?」というような。そういう中で「最初の戦国大名」といわれる宗瑞さん一人が異質で、宗瑞さんもやはり同じことを思っている。というか司馬さんの東国室町観を宗瑞さんに語らせてるような…。この「箱根の坂」のあと、司馬さんは韃靼疾風録という、たぶんにファンタジー(?)色をおびた小説を書き、そのあと小説を書いてない。やっぱり空しくなったのだろうか……憶測だけど。こういうのは徹底して脚色して、話をまったく変えて、登場人物をアニメチックにでもすれば面白いのかもしれないけど。そういえば八犬伝もそんなものか…。 PR