ある風景
氷原に大きな裂け目がある。
その内部は複雑な迷宮をなし、氷の回廊をひょうひょうと風が吹き抜けている。
上を見れば空は蒼く晴れて、太陽は刺すような光線をはなつ。
あれはまわりが氷だから神秘的なのかと思ったら、やはり砂漠に
似たような場所があり、そこでもひょうひょうと風が吹き抜け、空は蒼く
澄んでいた。
どうも蒼く晴れた日に風が吹いているとそれで「神秘的」であり、そこが回廊状の
場所だとさらにその気分が増すらしい。
だからそれはビルの谷風でもいいし、渇水した用水路の底でもいいのである。
そのイメージは想像力を豊かにするというより、爽涼感がありすぎてかえって
奪う感じがするが、ぜんぜん不快ではなく、心持ちが軽くなるような気がする。
ということを以前よく書いてたような気がする。
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